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執筆者の写真行政書士 目崎

NPO法人に課せられる税金はある?事例とともに分かりやすく説明


NPO法人の税金

収益事業に対しては課税される

 NPO法人が非営利活動(利益追求をしない)に関しては、法人税や事業税の納税義務はありません。NPO法人では、事業を継続発展させていくために収益事業(専ら利益を追求すること)が認められています。ただし、収益事業を行う場合は法人税を納税する必要が出てきます。この法人税は株式会社や合同会社などの営利法人と同様、年間800万円までは利益の15%が税率になります。


また、営利法人と同様に事業が赤字の場合は法人税の納税義務はありません。しかし、法人税申告が必要になりますのでご注意ください。

NPO法人で収益事業を行う際は、どれほどの収益を見込めるかなどを見極め、慎重に判断されることをお勧めします。


また、税務署に青色申告の承認申請書を提出しておくと、赤字の繰越が可能になるので、これも営利法人と同様の取り扱いになっています。


法人住民税には減免措置がある

 法人住民税は、法人の所在地の都道府県や市町村に支払う税金です。これは赤字黒字問わず、法人活動を行なっている場合に課税されるものです。行政サービスの利用料みたいなものです。


注意すべきことは、収益事業をしていない場合でも納税義務が生ずることです。


収益事業をしていない場合には、減免申請書を提出すれば、この法人住民税が減免になる自治体が多いです。

減免申請書は法人設立から規定の期間内に提出しないといけないので、注意が必要です。


弊所では、設立サポートをさせて頂く依頼人に代わって、書類の提出をさせて頂きます。


課税の対象の取引には消費税の納税義務が発生する



 消費税は課税取引を行う場合に納税が必要になります。収益事業の売上が年間1,000万円を超える場合には税務署に届出が必要になるので注意が必要です。


NPO法人とインボイスについて

 NPO法人で収益事業を行わない場合は、インボイス登録をする必要性はあまり高くありません。一方で、NPO法人で収益事業を行う場合は、他法人格と同様にインボイス登録を検討する必要があります。しかし、インボイス登録を検討するのは難しいですよね。

従って、以下の3パターンに分けて考えていきましょう。

①個人(一般消費者)に対してサービスを提供する場合

検討する必要性は低いでしょう。 

②法人や事業者に対してサービスを提供する場合

検討する必要性が高い

③行政からの委託事業を請け負う場合

検討する必要性が高い


事業内容やサービスを提供する相手側の事情を考慮して登録するかどうかを考える必要があります。

場合によっては、税理士に相談をすることをお勧め致します。


NPO法人の収益事業と非収益事業


収益事業について

収益事業は①収益事業の34業種内に該当し②反復継続しており、③事業所が設けられている場合に収益事業と判断される可能性があります。


①収益事業の34業種について

収益事業の34業種

反復継続している事業

上記の34業種を継続的に繰り返し行なっていることが要件になります。ここでの繰り返しとは、「単発ではなく、年間を通して行なっている」ことを指します。しかし、事業の実態、性質上「反復継続をしている」と判断されるケースもあるので注意が必要です。

個別具体的に判断されるので、お悩みの場合はお気軽に弊所にお問い合わせください。


非収益事業について

 34業種に該当する・しないに関わらず、事業の形態や内容によって収益事業に該当するケースもあるほど、昨今ではビジネスの多様化で線引きが曖昧になってきています。

収益事業に当たるかどうかは、結局は税務署の判断になるので、事業開始前に税務署に相談されることもお勧めです。

 税務署の職員さんは、NPO法人と伝えるととても優しく対応をして下さる印象があります。


それでは、実際に弊所で取り扱ったことのある「収益事業に当たる/当たらない」の事例を以下に示します。

[事例1]

クラウドファンディングでお金を集めた。

【収益事業に当たらない=寄付金に該当】


[事例2]

クラウドファンディングで寄付者に対価には当たらない程度のリターンを渡した。【収益事業に当たらない=無償提供】


[事例3]

クラウドファンディングで寄付者にある程度価値のある物を仕入れて、グッズとしてリターンを渡した。

【収益事業に当たる=対価提供】


[事例4]

サービスの利用者から料金を徴収。サービス実施の為の賃料や現場で働くスタッフの為に人件費を支出した結果、収支が±0若しくは0に近い黒字になった。

【収益事業に当たらない場合がある=実費弁済=個別具体的に判断されます】


[事例5]

NPO法人でイベントを実施した。企業から広告宣伝費として受け取る。イベント会場に企業のロゴや製品を至る所に配置した。

【収益事業に当たらない場合がある=個別具体的に判断されます】


事例を5つほど見てきました。以上のとおり、個別具体的な判断になりますので事前に税務署や士業に相談されることがお勧めです。


税務署に相談するハードルが高ければ、お気軽に弊所に一度ご相談ください。



収益事業を行う場合の会計基準について  収益事業を行うことになれば、NPO法人の会計方法とは別で営利法人同様の会計処理をする必要があります。


また、非営利(非収益)事業と収益事業の両方を行っている場合、事業ごとに会計帳簿を分けて処理する必要が出てきます。


非収益事業のみのNPO法人であれば会計方法はシンプルですが、収益事業も同時に行う場合は会計処理が複雑化する為、税理士の方に記帳を依頼することをお勧めいたします。


非収益事業の会計処理

事業報告時に提出義務のある財務書類

1 活動計算書

2 貸借対照表

3 財産目録


貸借対照表と財産目録は営利法人と同様のものですが、活動計算書はNPO法人独特の書類とも言えます。活動計算書の内容は損益計算書と類似しています。

また、事業報告については以下の記事を参考にして下さい。


ここまでNPO法人に課せられる税金についてみてきました。

課税か非課税かの線引きが曖昧な部分があるのも事実です。個別具体的に判断される部分があるので、お困りでしたら一度弊所にお問い合わせ下さい。


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